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なぜドリップコーヒーを始めたか
去年からリモートワークをしているが、今年から副業もするようになって、ずっと家に籠もって、仕事かゲームしかしていない。 そうすると、どうしてもプライベートと仕事の区切りがあやふやになってしまう。朝起きてから仕事を始めるまでの間に、何かルーティンのようなものが必要だと思うようになった。
ところで、去年まで私は水出しコーヒーを飲んでいた。夜寝る前にコーヒー粉をポットに入れて、それを冷蔵庫に入れると、朝起きた時にはコーヒーができていた。 私は猫舌だから、冷たくてすっきり飲めて、常に安定した味になる水出しコーヒーにそれなりに満足していた。 ただ、常に安定して同じ味になるから、正直のところ何が美味しいコーヒーで何が美味しくないコーヒーなのか、よく分からなかった。
先月、豆を買うついでにそれを近所の喫茶店の老店主に話したら、いつもより早口で大きな声で「水出しコーヒーなんてロクに味も匂いもしないものをやめろ、ドリップコーヒーをやれ」と言われてしまった。 その時の店主は、TypeScript 無しでフロントエンドの開発を始めようとする人間を諭す時の私と同じ目をしていた。 ある程度は趣味の話ではあるが、ある程度は合理性がある、そう思っている人間の話し方だった。 ちょっとしたページを作るぐらいなら jQuery で DOM をぶん回しても何とかなるように、私も寝る前に粉を入れて水を注ぐだけでできあがる水出しコーヒーにそれなりに満足していたワケだから、「そこまで熱くならなくても…」とちょっと引いてしまった。 でも、仕事を始める前の朝のルーティンにはちょうど良さそうだ。ものは試しともいうし、やってみることにした。
だから、その日の帰りにドンキホーテへ寄って、メリタの一つ穴フィルターと、フィルターペーパーを買った。 少し驚いたのは、ドンキホーテにも案外ちゃんとメリタだのカリタだのといったメーカーのものも売っているのだ。 我ら八王子市民御用達のドンキホーテのことだから、「情熱価格」などを名乗る文字通り価格だけが取り柄のプライベートブランドが作ったフィルターしか売っていないと思っていた。
それから YouTube で「コーヒー 淹れ方 初心者」で検索して見よう見まねで試してみたが、やればやるほど嘘のように不味いコーヒーができる。 ある意味これは良かったことで、これによって逆説的に不味くないコーヒーが何か少しだけ理解できた。 よくよく調べてみると、ドリップでコーヒーを作る上では、どうやら適当に粉をバーッと入れてお湯をバーッと入れるだけではダメらしい。
私が失敗から学んだこと
私の理解では、ドリップによるコーヒーの生成は以下の手順で行われる。
- お湯を沸かす
- 豆を挽く
- フィルターに紙をセットする
- フィルターに粉を入れる
- フィルターにお湯を少し注いで蒸らす
- お湯を注ぐ
私が不味いコーヒーを作って身を以て理解したこととして、ドリップコーヒーでは、以下のようなことに気をつける必要がある。
店で粉を買わずに豆を買う
豆を挽くというのは本当に面倒で、手は疲れるし時間はかかる。 だから、店で豆を挽いてもらって粉で買いたくなることがある。 ただ、これをしてしまうと日が経つごとにできあがるコーヒーが不味くなる。 本当に面倒だが、渋々仕方なく手で豆を挽いている。
大事なのはお湯を沸かしている間に急いでガーッとやってしまうことだ。暇な時間というのはとにかくイライラするので、そういう時間を作らないことが重要だ。
ちなみにミルで一番おすすめなのは、カリタの KH-9 [公式サイト] だ。 これに満ち満ちに豆を詰めて挽くと、およそ二杯分になる。 一回で二杯分ぐらいしか作れないのは面倒だが、わざわざ豆の重さを量らなくてもできあがりが一定になるからそれはそれで楽だ。 こぼさずにフィルターに粉を入れるのも簡単で、ずぼらな私でもイライラしない。
一方で、見た目はおしゃれなドームミルはおすすめしない。一杯分しかできない上に、引き出しを空けたときに粉がこぼれてイライラする。
お湯の量・お湯の温度・蒸らす時間を一定にする
私は本当にずぼらだから、最初のうちはお湯の量も温度もバラバラだった。 蒸らす時間も 30 秒の時もあれば 60 秒の時もあった。
しかしながら、実はこれらはきっちりと揃える必要があるらしい。 無類のコーヒー好きを自称する人々のブログにはそんなことが書いてあるが、「気の持ちようだろ」なんて思っていた。 だが、これはオカルトではなく本当だということを、茶渋みたいなコーヒーを作ったり、その逆で文字通りただのぬるま湯を作ったりして思い知ることとなった。
たとえば、お湯の温度が高すぎると雑味と言われるコーヒーの余分な味まで抽出されてしまうし、お湯の温度が低すぎると何も抽出されず色付きのぬるま湯が爆誕する。 洗い物をする時に油汚れに高温のお湯を当てると汚れがみるみる落ちていくが、多分それと同じ話なんだろう。
これは蒸らす時間にも言えて、長すぎると雑味が増し、短すぎると無ができあがる。 ちなみに、蒸らすのはコーヒー粉に含まれる焙煎時に発生した炭酸ガスを抜くためらしい。お湯を注ぐとコーヒー粉が膨れ上がるのも、炭酸ガスが抜けていくからだろう。
だが、キッチンタイマーを探したり Siri を起動したりするのも面倒だから、私は口で「1、2…」と数えている。 お湯の温度については目視ではさっぱりわからず、仕方がないのでタニタの料理用の温度計[Amazon]を買った。
デザインもそれほど悪くないし、目で見るよりはよっぽど楽だし、特に不満はない。
追記: 2021-04-18
1000 円ぐらいの安物だからか、中々すぐに温度が応答しない。ため息をつきながら 20 秒ほど持っていたら、うっかりコーヒーポットに温度計が触れてしまい、ドロドロに溶けてしまった。 仕方がないから、プラスチックが使われていない揚げ物用の温度計を買うことにした。これから引っ越しで金が飛ぶというのに腹の立つ出費だが、仕方がない。
初めのうちはフィルターはメリタ製にする
実は、フィルターのメーカーによって注ぎ方というのは変わるらしい。 カリタの場合は常にお湯の水位が一定になるように、メリタの場合は最初に一気にお湯を入れる必要があるらしい。
メリタのフィルターのいいところは、ちまちまとお湯を足さずに何も考えずにフィルタに描かれた線までガーッとお湯を入れれば後は勝手にやってくれることだ。 そして、抽出時には雑味の原因と言われているアクがお湯に浮いてくるが、メリタのフィルターは穴の位置が工夫されていて、それらのアクが入らないようになっている。 私はそれを知らずにフィルターに残ったお湯も全てコーヒーに入れた結果、おぞましく渋いコーヒーができあがった。不味いコーヒーが何なのかを理解するためには、抽出後にメリタのフィルターに残ったお湯を飲むといい。
各メーカーが淹れ方の公式動画を出しているので、良かったらチェックしてみてほしい。
終わりに
楽に美味しいコーヒーを淹れる方法を教えてくれる方を募集しています。